手軽に床の間を楽しむ
日本独自の文化、畳。その畳の部屋に見られる座敷飾りの床の間は、和生活を実践したい人には憧れですよね。しかし近年床の間のある和室は少なくなっています。手軽に床の間を楽しむ方法はあるのでしょうか。床の間風の演出をして、より深い和生活を楽しみましょう。
床の間の歴史
床の間は書院造りの建築と共に生まれ発展していきました。書院造りとは、平安貴族の邸宅であった寝殿造りに対して、鎌倉以降の武家において作られて建物を書院造りと呼んでいます。
書院とはもともと、僧侶の居室の事を指していました。高位の僧の書院には当時高級品であった畳を敷き詰めることでその権威を表すようになり、武家にも広まっていきました。鎌倉、室町の時代は大陸からの修行から帰った禅宗の僧侶が文化や学問の最先端トレンドでした。お茶や生花なども僧侶から始まったものです。
そのような書院を持つ建物が書院作りと呼ばれているわけで、書院造りの部屋を書院と呼ぶわけでないことに注意が必要です。
写真:銀閣寺の書院「同仁斎」
書院では掛け軸を飾る壁や、置物や壺を飾るためのギャラリー空間として棚・机が備え付けてありました。また、武家屋敷では棟梁の権威を示すための上座として、棟梁の部屋の床を一眼高くしてあります。
この一段高くなった部屋と、展示ギャラリーが茶室建築などで融合していき、南北朝時代から近世にかけて床の間として発展していきました。
床の間を作る
前述のように近年では床の間のある部屋の造りは少ないです。しかし工夫次第で床の間のような空間をつくることができます。
- 立体的な演出:収納下のスペースを利用して小物を飾る。高低差をつくることでメリハリのある空間を演出。
- 景色を利用する:窓からの景色を大きな絵に見立てることで、床の間のような雰囲気を作ります。季節の移ろいを自然のまま感じることができます。
- フェイク植物を利用:小石や柵などを室内に設置することで、違和感なくフェイクを使用することができます。
- 箱膳を用いる:角地に箱膳を置くことで、高低が付きます。小物を飾ることもでき、季節感の演出もしやすくなります。
最初から床の間のない和室でも、少しの工夫で床の間を作ることができます。自分なりの好みの空間を作りましょう。
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