泊まりましたレポート彦根の料亭旅館やす井

彦根やす井

彦根の料亭旅館やす井に泊まりました。子連れ妊婦の家族旅行でしたが、女将の指導がいいのかな?仲居さんのサービスがマニュアルじゃなく、思いやりって感じで、気持よく泊まれました。子供の宿泊に向いてる旅館だと思います。広いお部屋が2室あって防音がしっかりなので、3歳の子供が喜んで遊べました。子供向けの料理メニューもあります。

旅の目的はご飯を食べること

彦根への旅行は、出産前の旅行として行きました。赤ちゃんが生まれると一、二年は旅行に行けないので「最後の旅行か…」と気合が入ります。

ふだんの旅館選びは、観光地、温泉、料理、室内のしつらえ、ロケーションなどで選びますが、今回は妊婦なので条件が特別です。

というわけで、旅の目的は「料理」「お部屋のしつらえ」になります。旅館に引きこもって、おいしい料理を食べたい!

料亭旅館に泊まるのは初めてでした。料理だけに的を絞っているので、期待が高まります。

宿泊料金

彦根の料亭旅館やす井を選んだのは、公式ホームページの情報だけです。クチコミも体験談も評判も調べませんでした。

料理の写真が良さそうだったので決めました。

電話をして、正規の値段で宿泊しました。

インターネットの予約や、じゃらんや楽天トラベルのオトクな料金プランは使っていません。

楽天ポイントの支払い

他の旅館ですが…以前、楽天トラベルで予約してポイントで支払いして、いい思いをしなかったところがあります。

その失敗を踏まえ、やす井では直接の電話予約にしました。

やす井は、電話予約も公式ホームページも同じ価格で宿泊できました。

程よい距離感のサービス

やす井は、心からのサービスをしてくれていると思いました。各所で「あ、こんなことしてくれたんだ」と良い驚きをくれます。

担当の仲居さんだけでなく、他の仲居さん達も気を掛け、声をかけてくれます。かといって客への寄り過ぎ感がなく、距離感が絶妙。心地よく気軽にすごせました。女将の指導かな?(サービスや距離感はお客さんによって様々なので、ご参考までに)

帰り際に女将から「子供さん歓迎しますので、また来て下さい」と言われました。これがありがたかったです!

子供連れ旅行って、旅館に迷惑がられてるんじゃないかって、いつも心配するんですよね。赤ちゃんプランが設定してある宿は分かりやすいのでいいのですが…

子連れ旅行の宿探し

私の感覚では、きちんとした老舗旅館は子供にうるさいこと言いません。

新しくてラグジュアリーで高級を気取った旅館は「お客様へのおもてなし」とかカッコイイこと言うわりに、12歳以下や子供は宿泊お断りされます。「妊婦プラン」を売り込みながら子供禁止って、一見さんだけを相手にしてるお宿もあります。そんな旅館のサービスって、どんなものでしょうか?

子供の食事

家族での外食は、子供の料理をどうしようかと悩みます。まだ3歳なので大人一人分は多いし、ママの半分は食べるし、かといってお刺身など子供には食べられない料理もあります。

やす井は子供の料理が頼みやすかったです!

隣にある「食事処しる万」のメニューを選んでオーダーすることができました。うどんやお子様ランチもあります。

子供の食器はノリタケで、かわいくて使いやすくて品がありました。子どもの食器を見るだけでも「ちゃんとした旅館なんだ、泊まって良かった」と思いました。

到着しました

やす井のホームページでは、広い門に大きく「やす井」と染め抜かれたのれんがかかっています。ちょっとでかくない?「どんな趣味の旅館なんだろう?」と不安になります。

一泊2日を過ごす場所だけに、趣味が合わないとつらいのですが…安心しました。建物や調度品の趣味は私好みでした。

かといってただ女性向け趣味ってわけでもなさそうです。やす井は夫も気に入ったので、男性も安心して泊まりに行ける旅館でしょう。あまりにも「女性向け趣味」な旅館って、落ち着かなくないですか?

お庭

のれんをくぐって、長い庭を通って玄関まで行きます。

彦根料亭旅館やす井の庭

広い敷地ではありませんが、手入れが届いた良いお庭でした。

季節は6月、梅雨入り2日目の晴れて蒸し暑い日だったのですが、清涼感を感じました。玄関まで歩くと、日常から非日常へ気持ちが変わります。期待が高まります!

館内の様子と写真

玄関

旅館の玄関って、第一印象になりますよね。

やす井は玄関前の巨大な壺にインパクトがありました。

やす井玄関 やす井玄関大きな壺

大きい!身長95cmの3歳児より背の高い壺です。流木と、何が生けてあるのかな?緑の実の植物でした。夕方に料理長が触ってましたが、料理の飾りにでも使うのでしょうか?

玄関内部は広いです。

上がり框は低く、式台は広く、手すりもあって身の重い妊婦にも上がりやすかったです。

照明は明るすぎず暗すぎず。玄関と外で、明るさのコントラストが強いと目が眩んじゃうんだけど(妊娠で目が弱ってる?)そんなこともありませんでした。

玄関から廊下への途中に階段が3段あって、段差がちょっと高め…足腰に不安のある方はお気をつけ下さい。お年寄りは心配かも。

廊下

廊下は畳敷きです。そのためスリッパは無く、代わりの靴下が用意されています。スリッパをペタペタさせながら廊下を歩くのはダサいので、靴下で良かったです。

彦根やす井廊下

まっすぐ長い廊下が気持ちいい!建物に奥行きを感じられます。そういえば、お庭から玄関にもそんな印象があります。

廊下の調度品も目を引きました。

透かしうちわ

夏の透かしうちわが涼しげ!季節感を演出してます〜

両面透かしうちわなんてウチでは買えないから、めずらしいものを見せてもらいました。

やす井の調度品の特徴はたんすなのかな?廊下に水屋箪笥や階段箪笥がありました。

階段たんすに壺

お部屋と旅館の規模

彦根の料亭旅館やす井は客室9部屋です。

大きな規模の旅館ではありませんが、一部屋が広く、のびのびゆったり過ごせました。

3歳の子は部屋中をぐるぐる回って楽しめました(むやみに走り回ったり飛んだりハネたりさせてません)。子どもが飽きずに過ごせてよかったです。

宿泊したお部屋

宿泊したお部屋は風呂付きの「富貴」というお部屋でした。

入ってびっくりとにかく広い!

踏込2畳から続く廊下が11畳、お部屋は7.5畳と12.5畳の2室。それにプラス、床の間と違い棚がありました。

でも広いからといって「だだっ広くて寒々しい」ってことはありませんでした。モデルルームに行くと「ガランとしてさみしいなぁ」ってことありますよね?

富貴のお部屋は調度品が良くて、夏らしくさっぱり、涼しさを感じるお部屋でした。

衣桁と行灯

衣桁の前に行灯2灯がありました…なんだか豪華なんですけど!

お部屋が広いから大きめの調度品も置けるんですね。

唐風調度品 

よその旅館だとテーブルとソファが置いてあるところ、やす井では唐風のテーブルとイスが!

透かし彫りって、軽みがあっていいですね〜蒸し暑い日だったので、涼しげな家具は気持ちがよかったです。螺鈿で鳥や牡丹の装飾があって、子供が「この机とイス、かわいいね!」とうれしそうでした。

旅館やす井床の間

床の間のお花が紫のバラで印象的でした。

団扇って、こうやって床の間に置けば調度品になるんですね!うちわ立ての実物を初めて見ました。

この団扇も透かし彫りで、なでしこに流水でした。

旅館のお部屋に団扇が置いてあるっていいですね〜。くつろいだ雰囲気もあるし、実用性もバッチリ!子どもが暑くて寝られなかったので、扇いであげられました。

ただ、子どもが触らないようにかなり気をつけました。ヒヤヒヤです。ぼうや、100均うちわとは違うんだよ。

ウェルカムドリンク

ウェルカムドリンクのお茶菓子は笹団子です。

籠に盛ると素朴でイイですね〜。洗練された料理旅館のイメージでしたが、ちょっと意外なお茶菓子でした。

やす井のウェルカムドリンク

この笹団子はやす井の手作り。

彦根は和菓子いと重菓舗の笹餅が有名だそうです。「埋れ木」だけじゃないんですね。

料亭旅館やす井の草餅

お団子。笹をむきました。

けっこうデカイ…夕食が楽しみなのでガマンして子供と半分こ。半分でもお腹にズッシリきました。

お茶道具とグラス

お茶道具入れ(左)は籠でした。

旅館やす井お茶

夏らしくてうれしい!自宅では季節によって調度品を変えるのが難しい(めんどくさい)ので、旅館に泊まった時は季節を感じたいのです。

真ん中の小風呂敷がかかっているのはグラスです。大きさの異なる2種類のグラスでした。グラスが2種類って感激!夫は「当然でしょー」なんて言っていましたが、私は感激した!水とビールはグラス変えたいのでうれしいです。

浴衣

女性にとって浴衣って、旅館を選ぶ基準にもなりませんか?

やす井の浴衣は男女同じ柄、やす井のモチーフフラワー?のかきつばたです。

旅館の浴衣が紺色なのは画期的!すごくよかった!

白い浴衣って透けるのが気になるんです。下着をしっかり着ないといけないし、でも着たら下着が透けてかっこ悪いんですよね。

やす井の紺色浴衣は、透けが気にならなくてリラックスできました。

浴衣はさりげなく、でも当然2着

浴衣は一人二着用意してくれます。その二着の用意の仕方が心憎い!

到着時は一着だけ置いてあります。

「あ〜浴衣は一着だけか。夜はパジャマで寝ようかな」と思っていたら、仲居さんがお布団を敷いて帰って行くと…もう一着置いてあるのです!さりげなく!「浴衣は2着が当然ですよね」って自然さ!

これって!チェックイン時から2着置いてあるよりも、「浴衣は2着ご用意いたします」とホームページに書いておくよりも、ずっとサービス行き届いてます感!これはスゴイことだと思ったよ〜演出がウマイ!

旅館やす井浴衣

浴衣セットはこんなセッティングです。スリッパ代わりの足袋靴下も置いてあります。

6月でしたが丹前も準備されていました。気温の感じ方は人それぞれ、同じ部屋にいても男性と女性で寒かったり暑かったりしますよね。梅雨時は天候も不安定なので、丹前があってよかったです。

そして注目してほしいのは写真右の手前…なんとお昼寝枕!

お布団を敷く前に枕が出してある旅館は始めてでした。

妊娠中でダルくてゴロゴロしたい時期だったので、お昼寝枕はすっごくうれしかった!

奥の籠は、万が一の避難用スリッパ。畳敷き廊下なので館内でスリッパは履きませんが、もしもの避難時に使うものです。と、スリッパと一緒に説明書きが入っていました。

お部屋のお風呂

旅館やす井ひのき風呂

部屋風呂は、ひのき風呂でした。

お風呂用にバスタオルとフェイスタオルのセット、それとは別にフカフカのフェイスタオルも2本置いてありました。かきつばたの刺繍入りでかわいい!

バスアメニティグッズ

女性はバスアメニティでホテル選びしたりしますよね。

やす井のバスアメニティはドクターシーラボです。個包装の基礎化粧品で夜用セットと朝用セットにパックされていました。

男性向けにUNOのムースも置いてありました。ヘアアレンジ用品って忘れがちなので、用意してあるとうれしいです。男性のアメニティグッズはカミソリだけってことが多いので、気を利かしてますよね。

洗面所のドライヤーは壁に固定タイプで「固定タイプは風量が弱いんだよな〜残念」と…フト見るとドライヤーがもう一本。ナショナルナノケアでした!わーい

夕食

今回の旅行のメイン、会席料理の夕食です!

先付け

やす井先付け

先付け。

車海老とおくらの煮こごり。焼き鱧に梅肉きゅうり。いちじくと合鴨がチコリボートに乗ってます。

煮凝りって言うよりゼリー寄せってかんじ。幼児にも食べやすかったです。

鱧っておいしいんですね!これまでちゃんと食べたことなかったから、たいしたことない魚だと思ってました。この焼き鱧の香ばしさは、今でも思い出します。

吸い物

かぼちゃのすり流し

吸い物は、かぼちゃのすり流しに毛蟹と冬瓜と青菜です。

すり流し〜やさしいお味です。普段はカボチャを好まない息子にも少し飲ませてやりました。でもカニをよろこんで食べていました。カニは普段食べさせないから、珍しかったようです。

お造り

やす井夏のお造り

お作りは、切子の鉢に氷を詰めて、葉っぱの上にお刺身がのってます。

貝がおいしかった!海藻の寒天寄せや骨せんべいが載ってるのも変わっててよかった!

寒天や骨せんべいでいろんな食感を楽しめるお造りでした。お刺身タイムはいつもヒマな3歳の長男(なま物はまだ食べさせてない)ですが、やす井では骨せんべいをポリポリ食べられました。

ガラスの器2つは大きな織部の長皿にのせてあるのですが、この織部がちょっといいかんじでした。私が住む愛知県瀬戸市の作家さん・職人さんとは違った色で、興味深かったです。

強肴

彦根近江牛炭焼き

強肴は近江牛の炭火焼です。

肉の味はそれなり。ズッキーニがおいしかった!近江牛はアラカルトで特別に注文したわけでないし、今回の旅行は牛肉を希望してなかったので不満はありません。彦根の割烹旅館で近江牛無しってワケにはいきませんもんね。

炭火を使っているのはよかった!

客がセルフでお肉を焼く場合、岩盤焼きや陶板焼きが主流ですが、あれって肉がベチャっとしちゃうんですよね。素人には肉のポテンシャルを最大限引き出せないと思うんです。その点、炭火焼きなら炭の効果でおいしく焼けます。表面のカリッとコゲ感も楽しめます。

ただ旅館側の配慮として、炭火焼きのニオイを気にしているようでした。換気扇を強くしたり、臭いが消えるまでつけっぱなしにしてくれたりと、かなり気を使ってくれました。

最近の旅館は、食事処での夕食をメリットとしてアピールするようですが、ニオイを嫌うお客さんも多いのかな?

口直し

口直しはフルーツトマトとぶどうの白和えです。

トマトとぶどうの白和え

白和えっていうけど…和えてないって思いました。豆腐がトロリと載っています。見た目はかわいいけど、味の一体感はありませんでした。

白ワインを飲んでるならクリームチーズが載ってる風でいいのかもしれないけど。会席料理は基本的に日本酒が合うと思うので、そんなに魅力なかったです(私は妊婦なのでお茶でしたが)。

焼き物

焼き物待ってました!鮎大好き!琵琶湖の鮎を食べに来たのです!

琵琶湖稚鮎の塩焼き

泳いでいるようなきれいな盛り付け〜グラスが琵琶湖の湖水、揚げ物に刺した串は船の竿のイメージでしょうか?

上手に焼いてあるので鮎の頭もポリポリ食べられました。息子も食べてましたよ。

おいしくて驚いたのは、串が刺さった揚げ物です。鯛の蕗巻きのあられ揚げでした。

鯛のふわふわ食感にフキの香りがして、衣のあられが香ばしい!あられと蕗で2種類の香り、ポリポリあられと鯛のふわふわで2種類の食感が楽しめます。なんと複雑で楽しいお料理でしょうか!

家で作れないものを食べられるのが、旅館の料理の楽しみです。

鮒寿司

鮒寿司は初体験です。

鮒寿司のように特徴ある食べ物は、ちゃんとしたお店のものでデビューしたかったので、これまで食べずにいたのです。

やす井の鮒寿司は、においが全然気になりませんでした。鮒寿司って「塩辛い食べ物なのかな?」と予想していたのですが、味が濃いわけじゃないのに旨味があり、かといってくどくありませんでした。お酒を飲んでいなかったのが大変残念でした。

日本酒を飲んでいる夫にはことさらおいしかったらしく、しみじみ食べていました。

留肴

留肴は太刀魚のあぶり焼きと焼き茄子です。

太刀魚の炙り

おいしくてビックリ!料理も終盤でお腹がいっぱいなのに、一皿食べられました。太刀魚おいしい!!炙ってあるから歯ざわりが良かったのかな。

デザート

デザートは水菓子とクレープです。

割烹旅館のクレープ

トッピングのオレンジピールがおいしかったです!

生クリームは植物性じゃなくて純生クリームです。満足〜

もしここで植物性生クリームを使われると「…日本料理だもんね。仕方ない」という気持ちになるのでしょうが、ガッカリさせないやす井!

やす井の場所

やす井は温泉街の旅館じゃないので「場所が分かるかな?」と不安でした。以前、広島の石亭や別府の割烹旅館ゆめさきが住宅地のまんなかにあったからです。住宅地だとナビでわかりづらいので、初めての所は迷わないよう気を使いますね。

やす井は分かりやすい場所でした!小学校の横で地図で探しやすいです。道も比較的広く、駐車場の間口も広いです。

看板は「やす井」じゃなくて、やす井が経営する「しる万」と大きく書かれています。

駐車場は広くて停めやすいです。しる万と共同駐車場だからかな?



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